乃木坂46の全楽曲を現地で制覇することは可能なのか【前編】
2011年8月21日の結成から干支が1周し、13年目を迎えた乃木坂46。
これまでリリースしたシングルは33枚を数え、アルバムも含めた総楽曲数は実に269曲にのぼる。
そんなある日のこと、突然1つの疑問が頭に浮かんだ。
「全楽曲を現地で制覇している人はいるのだろうか。」
本当に何の脈絡もなくポンと頭に浮かんだのだが、浮かんでしまった以上仕方がない。
この疑問を解決すべく、2012年8月13日開催の「乃木坂46 Live in Osaka ~がんばれ!今野~」から、2023年8月28日開催の「真夏の全国ツアー2023 東京公演」に至るまで、延べ約1万曲のセトリのExcelファイルを手元に用意した。
当記事の前編では「全楽曲を現地で制覇している人は現実的にいそうか」を、後編では「今後、0から全楽曲を現地で制覇することは可能か」を考察する。
なお、ここから先では「現在」などの時を表す語句は「2023年8月29日」を基準にしている。
全楽曲を現地で制覇している人は現実的にいそうか
0. 対象のライブ
今回は、Wikipediaに記載のあるライブを対象に考察を行う。
すなわち、CDの購入特典ライブやお見立て会などは含んでいない。
また、「現地で(=実際にライブ会場に足を運んで)」という部分を際立たせるため、無観客で行われた配信ライブは対象外とする。
今後、当記事内において特にことわりがない場合、「ライブ」とは以上の条件を満たすものを指す。
ここで、本題に入る前に1つだけ残念なお知らせがある。
この制約のもとで、全楽曲を現地で制覇するのは物理的に不可能なのだ。
その理由は至ってシンプルで、
①「配信ライブでしか披露されたことがない楽曲があるから」
②「ライブで披露されたことがない楽曲があるから」
であり、現在では以下の9曲が該当する。
- 『冷たい水の中』
- 『やさしいだけなら』
- 『泥だらけ』
- 『夢を見る筋肉』
- 『黄昏はいつも』
- 『涙の滑り台』
- 『マグカップとシンク』
- 『お別れタコス』
- 『命の冒涜』
これをもって「不可能だった」と結論付けても仕方がないので、これからは「ライブで披露された全楽曲を現地で制覇している人は現実的にいそうか」を考察する。
それに伴い、今後特にことわりがない限り「全楽曲」とは、便宜的に上記の9曲を除いた260曲を指すものとする。
なお、「現実的にいそうか」という考察をするにあたって、当記事では「出来るだけ少ない公演数で全曲を制覇する」ことを目標に議論を進める。
「公演数は多少増えるが、開催地を考慮するとより現実的」というケースがある可能性も考えられるが、議論の複雑化を避けるため、ここでは開催地は考慮せずに考察を行う。
1. 24thシングルまでの全楽曲199曲+『しあわせの保護色』の200曲
まず初めに、24thシングル『夜明けまで強がらなくてもいい』までにリリースされた全199曲と、25thシングル表題曲『しあわせの保護色』を合わせた200曲について考える。
すでにお気付きの方も多いだろうが、この200曲は2020年2月21~24日に開催された『乃木坂46 8th YEAR BIRTHDAY LIVE』で披露された楽曲である。
かつてのBIRTHDAY LIVE(以下バスラ)は「全曲披露」がコンセプトとなっており、このライブは今のところこのコンセプトに則って行われた最後のバスラである。*1
これで全楽曲のおよそ8割にあたる200曲が制覇できるため、残りの60曲を制覇するのは比較的容易に思えるかもしれない。
しかし、8th YEAR BIRTHDAY LIVEは今のところ最後の全曲披露ライブであると同時に、コロナ禍以前に行われた最後のライブでもある。
これ以降、1年以上にわたって無観客での配信ライブが主流になったこともあり*2、25thシングル以降の全楽曲を現地で制覇するのは、それ以前と比べて格段に難易度が高くなっているのだ。
2. ライブで1度しか披露されていない楽曲
次に、残りの60曲のうちライブで1度しか披露されていない楽曲について考える。
現在では12曲が該当し、その楽曲と披露されたライブは以下の通りである(披露順)。
楽曲名 | 披露されたライブ |
---|---|
『私の色』 | 真夏の全国ツアー2021 FINAL! DAY2 |
『あなたからの卒業』 | 乃木坂46 新内眞衣 卒業セレモニー |
『忘れないといいな』 | 北野日奈子 卒業コンサート |
『世界中の隣人よ』 | 乃木坂46 10th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY2 |
『じゃあね。』 | 30thSG アンダーライブ 東京公演 DAY3 |
『銭湯ラプソディー』 | 11th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY1~全体ライブ~ |
『甘いエビデンス』 | 11th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY1~全体ライブ~ |
『価値あるもの』 | 11th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY1~全体ライブ~ |
『大人たちには指示されない』 | 11th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY4~3期生ライブ~ |
『僕たちのサヨナラ』 | 11th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY5~秋元真夏卒業コンサート~ |
『これから』 | 齋藤飛鳥 卒業コンサート DAY1 |
『考えないようにする』 | 真夏の全国ツアー2023 東京公演 DAY1 |
これらの楽曲は今のところ1回しか披露されていないため、当然それぞれが披露されたライブに居合わせていないといけない。
いきなり10公演が追加されて、現実的に可能かどうか怪しくなってきたが、これらのライブで残り60曲のうち51曲を制覇することができ、残りは以下の9曲に絞られる。
- 『明日がある理由』
- 『友情ピアス』
- 『ざぶんざざぶん』
- 『さ~ゆ~Ready?』
- 『マシンガンレイン』
- 『もしも心が透明なら』
- 『歳月の轍』
- 『アトノマツリ』
- 『さざ波は戻らない』
ここからはこれらの9曲を制覇するための最小の公演数について考える。
3. 他の楽曲と重複して披露されていない楽曲
残りの9曲はいずれもライブで複数回披露されているが、
- 『友情ピアス』
- 『ざぶんざざぶん』
- 『さ~ゆ~Ready?』
- 『歳月の轍』
の4曲については、それぞれの楽曲が披露されたいずれのライブにおいても、上記の9曲のうち自身を除いた8曲が披露されていない。
つまり、今回の議論においては「② ライブで1度しか披露されていない楽曲」と本質は全く同じである。
それぞれの楽曲が披露されたライブは以下の通り。
楽曲名 | 披露されたライブ |
---|---|
『友情ピアス』 |
|
『ざぶんざざぶん』 |
|
『さ~ゆ~Ready?』 | |
『歳月の轍』 |
この4曲を1つのライブで複数制覇することはできず、4つのライブに参戦していなくてはならない。
4. 残りの曲を制覇するためのライブの組み合わせ
いよいよ全楽曲制覇まで以下の5曲を残すのみとなった。
- 『明日がある理由』
- 『マシンガンレイン』
- 『もしも心が透明なら』
- 『アトノマツリ』
- 『さざ波は戻らない』
これから、この5曲を制覇できる出来るだけ少ない公演数の組み合わせを考えるわけだが、実は「31stSG アンダーライブ」「32ndSG アンダーライブ」のそれぞれいずれか1公演の、合計2公演で制覇することができる。
というのも、『明日がある理由』は「31stSG アンダーライブ」の全公演で披露されており、『明日がある理由』を除いた4曲はすべて「32ndSG アンダーライブ」の全公演で披露されているのだ。
5曲すべて披露された公演はないので、上記の2公演が最小の組み合わせとなる。
これにてめでたく全楽曲制覇を達成することができた。
5. 結論
これまでの議論をまとめると、全楽曲を制覇するために必要な最小の公演数は20公演であり、その組み合わせの一例は以下の通りである。
開催日 | ライブ |
---|---|
2020/2/21 | 8th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY1 |
2020/2/22 | 8th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY2 |
2020/2/23 | 9th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY3 |
2020/2/24 | 9th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY4 |
2021/6/23 | ※さ〜ゆ〜Ready? 〜さゆりんご軍団ライブ/松村沙友理 卒業コンサート〜 DAY1 |
2021/7/14 | ※真夏の全国ツアー2021 大阪公演 DAY1 |
2021/11/20 | ※真夏の全国ツアー2021 FINAL! DAY1 |
2021/11/21 | 真夏の全国ツアー2021 FINAL! DAY2 |
2021/12/14 | ※生田絵梨花 卒業コンサート DAY1 |
2022/2/10 | 乃木坂46 新内眞衣 卒業セレモニー |
2022/3/24 | 北野日奈子 卒業コンサート |
2022/5/15 | 乃木坂46 10th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY2 |
2022/9/29 | 30thSG アンダーライブ 東京公演 DAY3 |
2022/12/1 | ※31stSG アンダーライブ 神奈川公演 DAY1 |
2023/2/22 | 11th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY1~全体ライブ~ |
2023/2/25 | 11th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY4~3期生ライブ~ |
2023/2/26 | 11th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY5~秋元真夏卒業コンサート~ |
2023/4/5 | ※32ndSG アンダーライブ 東京公演 DAY1 |
2023/5/17 | 齋藤飛鳥 卒業コンサート DAY1 |
2023/8/25 | 真夏の全国ツアー2023 東京公演 DAY1 |
※をつけた6つのライブは、同じライブの別の公演でも代替可能である(詳しくは当記事の該当部分を参照)。
個人的にはもっと多いだろうと予想していたし、20公演と聞くと全楽曲制覇している人もいそうな気がしてくるが、冷静に考えてみると極めて難しいことがよくわかる。
例えば、議論の冒頭で当たり前のように8thバスラの全通を前提にしたが、その時点で人数がかなり絞られることは想像に難くない。
また、全通する必要のないライブであってもそれはあくまで結果論であり、実際にはほぼ全通していないと上の表のどれかしらの公演は逃してしまうだろう。
以上より結論としては、すべてのライブを全通するくらいの気力と財力、そしてそれらのチケットを確保するための比類なき強運、もしくは圧倒的な一般戦争の強さがないと全楽曲の現地制覇は厳しいし、実際に全楽曲を制覇している人がいたとしてもせいぜい片手で数えられるくらいであると思われる。
後編へ続く。
追記
もし全楽曲を現地で制覇している方がいらっしゃいましたら、ぜひ参戦したライブをコメントで教えてください。
全楽曲でなくても、制覇まであと10曲くらいの方もぜひコメントで教えてください。
また、これまで参戦したライブを教えていただければ現在何曲制覇しているかすぐに調べられるので、どなたさまもお気軽にコメントください。
*1:念のため「今のところ最後」という表現にしたが、このバスラが事実上最後の全曲披露ライブであることはほぼ間違いない。
仮に今、全269曲を披露するライブを開催するとなると、通常の全体ライブの披露数で約1週間、7時間半かけて73曲を披露した「3rd YEAR BIRTHDAY LIVE」のボリュームでも4日間かかる計算になる。
ライブの長期化はさることながら、全269曲のオリジナルメンバーの人数の合計を現メンバーの人数で割った値はおよそ80、つまりそれぞれのメンバーが約80曲を披露することになる。こんなことをしようもんならきっと何かしらの法に抵触するだろう。